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グルテンフリーって何?管理栄養士が解説する基本と実践のコツ

グルテンフリーって何?管理栄養士が解説する基本と実践のコツ
ここ数年で、「グルテンフリー」という言葉を耳にする機会がぐっと増えました。パンやパスタに欠かせないグルテンが、体質によっては体の不調のきっかけになる場合があるからです。この食生活は、もともと特定の病気の治療法でしたが、今では健康や美容に関心の高い人々からも注目を集めています。グルテンフリーを始めるなら、まずは正しい情報を知ることからはじめましょう。
目次

そもそも「グルテンフリー」って何?

グルテンフリーとは、小麦・大麦・ライ麦などに含まれるグルテンを含まない食品や食事のことを指します。ただし、体調の変化には個人差があること、グルテンフリーダイエットと体重の関係は現時点では十分な科学的根拠がないことをご理解の上、参考にしてください。

グルテンとは?

グルテンは、小麦などの麦類に含まれるたんぱく質の一種です。小麦粉に水を加えてこねると、グルテニンとグリアジンという2種類のたんぱく質が絡み合い、弾力のある網目状の構造を作ります。パンがふっくらふくらんだり、うどんやラーメンがもちもちとした食感になるのは、このグルテンの働きによるものです。 グルテンというとパンや麺をイメージしがちですが、実はもっと幅広い食品に含まれています。
種類 食品
麺類 パン、うどん、ラーメン、パスタ
焼き菓子 ケーキ、クッキー、クラッカー
飲み物 ビール
調味料 醤油、麦味噌
その他 揚げ物の衣、ルウ、加工食品のつなぎ

なぜパン以外にもグルテンが含まれるの?

「グルテンはこねて作られるのに、どうしてビールや醤油にも含まれるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。ビールや醤油の場合、小麦や大麦に含まれるたんぱく質が発酵や加工の過程で細かく分解され、その断片が飲み物や調味料の中に溶け込んでいます。 食品表示などでは、こうした「たんぱく質のかけら」も含めてグルテンと扱われるため、パンや麺以外の食品でも「グルテンを含む」と表現されるのです。
【豆知識】麦茶にグルテンは含まれる? 同じ「麦」を使った飲み物でも、麦茶には基本的にグルテンは含まれません。 焙煎した大麦をお湯で抽出して作るため、水に溶けにくいグルテン関連のたんぱく質はほとんど出てこないからです。

グルテンフリーと低糖質の関係性について

グルテンフリーと低糖質ダイエットの関係性は、「グルテンフリーをすると、結果的に低糖質になることが多い」という点です。 グルテンを含むパンや麺類は、同時に糖質も多く含んでいます。そのため、グルテンフリーを実践すると、自然とこれらの高糖質な食品を避けることになり、結果的に糖質の摂取量が減りやすいのです。 しかし、目的はまったく異なります。グルテンフリーは「グルテンを避ける」ことが目的。一方、低糖質ダイエットは「糖質を減らす」ことが目的です。グルテンフリーだからといって直接的に体重の減少につながるわけではなく、あくまで食生活全体の変化が体重に影響を与えるという側面が強いと考えられます。

グルテンフリー生活で試したいおすすめの商品

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グルテンフリーを実践するメリットとデメリット

グルテンは、特定の体質の方には合わないと感じられることがあります。食生活を見直す中で、原因が分かりにくい日々のコンディションの乱れに対し、グルテンフリーの食習慣が体と向き合う一つのきっかけになるかもしれません。 では、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット

・体調の変化に気づくきっかけになる

「最近、なんだかお腹の調子がすぐれない」「朝起きても体が重い…」その原因は、もしかすると、グルテンかもしれません。グルテンを避けることで、毎日のコンディションを整えるきっかけになることも。もし心当たりがあるなら、一度試してみてはいかがでしょうか。

・健康的な食生活を目指せる

毎日のパフォーマンスや健康は、私たちの食生活と密接に関わっています。グルテンフリーの生活を始めると、パンやパスタといった小麦製品を控えるので、自然と加工食品や外食に頼ることが減ります。 その代わりに、新鮮な食材を使った手作りの食事を選ぶ機会が増えるはずです。こうした変化が、あなたの栄養バランスを整え、健康的な体づくりをサポートすることにつながるでしょう。

・あなたのなりたい自分をサポート

グルテンを含む多くの食品(パン、パスタ、お菓子など)は、カロリーや糖質が高くなりがちです。グルテンフリーに切り替えることで、これらの食品を控えることになり、結果として摂取カロリーや糖質が自然と抑えられ、理想の体を目指すサポートになる場合があります。これは、食生活全体を見直すことによる、うれしい変化といえるでしょう。

デメリット

・食事の選択肢が限られる

グルテンフリーを始めると、外食やスーパーで気軽に買えるものが意外と少ないことに気づくかもしれません。特に日本では、醤油や味噌といった調味料に小麦が含まれていることが多く、原材料表示をよく確認しましょう。 友人や家族との外食で、メニュー選びに困ってしまうかもしれませんが、最近はグルテンフリーに対応したお店や食品も増えてきているので、「これはOK!」というものを見つけていくのも、楽しいかもしれませんね。

・食費が高くなる可能性がある

グルテンフリーの商品は、特別な材料を使っていたり、専門の製造ラインで作られていたりするので、一般的なものと比べてどうしても値段が高くなりがちです。市販のグルテンフリー製品ばかりに頼っていると、食費が高くなるかもしれません。 グルテンフリー生活を続けていくには、いきなりすべてのグルテン取得をやめるのではなく、お米や野菜、お肉、お魚を中心にした基本的な食事をしつつ、グルテンの製品を少しずつ減らして食事のペースをつかんでいきましょう

・日本の食生活では効果を感じにくいことも

欧米ではパンやパスタが毎日の食事の中心になることが多いため、グルテンフリーに切り替えると、食生活が劇的に変わることが多く、体調の変化も感じやすい傾向にあります。 日本ではお米が主食なので、グルテンフリーを始めても体調の変化を期待したほど感じにくいこともあるかもしれません。普段の食事を振り返って、小麦製品を食べる頻度などを考えてみるのもよいでしょう。

グルテンフリーを続けるための食材と商品のヒント

「何を食べればいいの?」という不安を解消するために、グルテンフリーの食生活で頼りになる食材と、小麦粉の代わりになる食品をご紹介します。
1. 主食は「お米のチカラ」を借りよう 日本人の食生活は、実はグルテンフリーにとても馴染みやすいもの。主食の代表であるお米はもちろん、じゃがいもやさつまいも、キヌア、とうもろこしなども、安心して食べられます。 2. 食材本来の味を楽しむ「おかず」 おかずによく使う、肉、魚介類、野菜、果物、卵、乳製品、豆類、きのこ類は、グルテンをほとんど含まず、毎日の食事に役立つ食材です。新鮮な食材をシンプルに調理するだけで、美味しくヘルシーな食事が楽しめます。 3. 「代替品」でいつもの料理を自由にアレンジ パンや麺類、お菓子作りには、小麦粉の代わりに使える便利な代替品がたくさんあります。例えば、米粉はパンやケーキ、天ぷらなど、幅広く使えます。また、そば粉は100%の「十割そば」を選べば、風味豊かな麺料理に。アーモンドプードルやココナッツフラワーはお菓子作りに使うと、風味が増して美味しくなります。 これらの代替品を上手に取り入れることで、負担なくグルテンフリー生活を楽しく続けやすくなります。

グルテンフリー生活を無理なく続けるためのコツ

グルテンフリーを始めると、最初は「何を食べていいかわからない」「我慢ばかりでつらい」と感じてしまうかもしれません。でも、少しの工夫で、無理なく楽しく続けやすくなります。

完璧よりも「ゆるく」始める

ストイックにグルテンを完全に排除するのではなく、まずはゆるグルテンフリーから始めてみませんか。例えば、 ・平日の夜はグルテンフリーにする ・朝食のパンをお米に変えてみる ・おやつはグルテンフリーのものを選ぶ といったように、できることから少しずつ取り入れてみましょう。完璧を目指さず、自分のペースで続けることが大切です。

外食・市販品は「選び方を知って」楽しむ

外食では、お寿司やお刺身、焼き魚など、もともとグルテンフリーの和食を選ぶのがおすすめです。中華料理や洋食は、調味料に小麦が使われていることが多いので、お店に確認してみましょう。 市販品を買うときは、商品の原材料表示をチェックする習慣をつけましょう。最近は「グルテンフリー」と明記されている商品も増えているので、積極的に活用してみてください。

栄養は「バランスよく」摂る

小麦製品を避けると、ビタミンB群や食物繊維が不足することも。栄養バランスを整えるには、特定の食材に偏らず、お米やイモ類、豆類、野菜、果物などをさまざまな食材を食卓に取り入れるように心がけましょう。

グルテンフリー生活で、新しい自分に出会おう

グルテンフリー生活を始めると、体調に良い変化が見られるかもしれません。ただし、過度な期待は禁物です。グルテンフリーのメリットは管理栄養士の視点から見ても、グルテンを避けることそのものだけでなく、それに伴う健康的な食生活から得られる場合も多いからです。まずは完璧を目指さず、できることからマイペースにグルテンフリー生活に挑戦し、自分の体の声と向き合ってみてはいかがでしょうか。
端場 愛
監修者
端場 愛
プロフィール:管理栄養士。中高生から高齢者まで幅広い世代の栄養管理に従事。食べ物と体の関係を分かりやすく伝えるために、栄養食育ライターとして活動中。“今日よりもちょっとだけ健康になれるような情報”を提供するのがモットー。
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